ききじょこは自分で
金曜、土曜と東京を廻ってきた。ある銘酒居酒屋で納入している小売店さんに当社契約社員も交えて呑んだわけだが。居酒屋の酒の提供の仕方はかなりバラエティーに富み、1オーダーで出される量もまちまちである。客、呑み屋、小売、藏と登場人物は4者でそれぞれ思惑は違うが酒好きは共通である。
藏は自分のブランドをどちらかと言えば安く、安定的に売ってほしい。小売も店の価格設定は安い方が繁盛しやすいと普通考えるが、安いから店が必ずはやるというほど世の中甘くはない、。また小売は自分が納入する銘柄群を増やしてほしいか独占したい傾向にある。そして当然藏も小売も居酒屋が繁盛してほしいのは同じである。そして居酒屋はサービス業だから当然上手に高い単価で売れることを願う。酒に力点を置く居酒屋でマニアや上級ファンを対象にしているのであれば、銘柄は多数おきたいので常に入れ替えられる傾向にあり、旬のこだわったアイテムを自由に選んで仕入れたがる。つまり複数の小売からピックアップしたがるのだ。もちろん絞った銘柄を安定的に売りたい店も多い。料理に主眼がある店は酒は無難な銘柄にとどめてしまう。業態は無数で誰かが暗黒大陸とか言っていたくらいだ。川下へ行くほど戦略の多様性は爆発的に増える。そして飲み手は安い設定の方がいいに決まっているが、当然料理、サービス、雰囲気、立地と選択ポイントは変わるし、特定の銘柄の固定ファンなら、あまり銘柄がころころ変わる所は好まない。
という背景の中で、小量のグラスで売るなり、昔風の利き猪口でだしたり、徳利やガラス製のボトルとさまざまな提供のされ方になる。寂しい話だが相当目分量も正確になってしまった。以前はどの店はどの銘柄という棲み分けだか陣取合戦の世界で、看板、酒燗器、徳利、猪口とすべてメーカーの協賛だった。まだ普通の居酒屋ではあることにはある話だが、どんどんそのやり方は減りつつある。また銘酒居酒屋とファンに認められたいなら、それでは相手にされない。過渡期的に特定銘柄のマークが入った利き猪口、グラスで提供されていた例も多かったが、最近は自分で買ったか、もらったかは別で無印のグラスが圧倒的になった。そしてこの日のお店では、底に蛇の目の入った利き酒大会等で使う利き猪口(当然宇平ではないが)に店名を横へ焼き込んだもので、これは一つの到達点である。相当数作らないといけないはずなので、意気込みが伝わってくる。
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