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2006年8月29日 (火)

夏こそ燗酒

8/27(日)泊まり込みまでして京都へ出かけた。蔵元交流会の第4回燗酒楽園にお誘いがあったからだが、立場上背広を着て乗り込んだ。どうも会の都合もあるようで機械屋さん達と2次会へ繰り出す。いや日曜に京都で飲めるのなんて何十年ぶりだろう。Img_28412

パンチ木下氏のTシャツがほぼすべてを物語る、エキセントリックなイベントであった。(京都へ行って地酒と関西のこってり文化に興味のある人はここをチェック。河原町三条下がる夕鶴ビル1階奥、「地酒バー膳」075-213-5447)関西の味の本質について伺う。

さて、会場では、なにせこの夏に地酒イベントで純米酒の燗酒しか提供しないのだ。私なりに、この燗酒について考えて見ることにした。

蔵元交流会は約70藏加盟でこの日京都には35藏が参加。400名参加で満員御礼、会費は10000円。着席形式でオードブル的コースが出る。参加賞の杯で、壁際に並べた各藏のテーブルを飲んで廻る。営利会社が行うイベントと異なり、ボランティア的に会員蔵元や酒販店が参加して、「安酒相手に純米酒が相撲を取る」趣向など行っているのは和気藹々としたものを感じさせてくれた。代表幹事の森喜秀樹氏が挨拶され、ちなみに上原浩先生は亡くなられているので、富部先生が乾杯発声される。漫画家の尾瀬あきら氏とエッセイストの藤田千恵子氏も参加されていた。

当社も純米比率は会員藏の平均以上のはずで、純米酒こそ日本酒復活の中心となるべきだとは思っているが、純米だけが本物だという哲学は私にはない。まして燗酒への傾斜はないというのが事実で、燗酒も歓迎するが、何もそこまでというのが正直な実感で、常温で利き酒するオプションがなかったのは驚きだった。

業務店が面倒がる、消費者も大抵面倒がる、いいとは思うが一般的ではなくなっており、愛好家が家庭で楽しむ一種の一日の終了儀式だろうくらいの観察をしていた私は、まず彼らの主張をパンフから解読することにした。

1.純米酒には琥珀酸が多く含有され暖めると美味しくなる。

2.アルコールは体温近くで体内に吸収される。燗酒はアルコールの吸収が早く、酔い覚めも早い。

3.冷酒は吸収に時間がかかるので後で酔いが廻ってしまうので飲み過ぎやすい。

なるほど。私が翌朝までにまとめた感想はこうだ。

燗酒にすると、酸味が柔らかくなり、酸っぱさや渋みが取れて感じる。やや酸度の高い酒でもまるく感じるのだ。昔昔のその昔、酒はほぼすべて純米酒だった頃、米の精白は低く、おそらく酸度はもっと高かったろう。燗酒はその雑味を取るか感じにくくする、つまり飲みやすくするための工夫だった可能性がある。今、極端な高精白を見直すむきもあるが、これは燗酒の再普及運動と同じ流れにつながっている。そして淡麗辛口から旨味重視への嗜好変化もある。旨味はアル添より純米の方がある。充分米の旨みを引き出すには、ある程度酸度を高めなくてはならない。高酸度の酒は、少し前なら雑味があるとか、綺麗さが足りないとか、エレガントさがないとか、好き放題言われる原因だったが、これをクリアするため、山田錦のような米を高精白する必要があった。燗酒が見直されれば、こういう声は気にしなくてすむ。

たしかにいい運動だが、冷・常温の良さもあるので、多様な楽しみ方を日本酒はできることも、忘れるべきではないと思う。こうなるとあとは「アル添研究会」とか「香り系命の会」とかの登場を待つばかりである。あれだけ予算のありそうな、大手中心に「パック清酒コンテスト」をなぜやらないのだろう。「カップ酒コンテスト」は今年もやるらしいのに。

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コメント

「香り系いのちの会」笑えます。
当地には、本格甘酒を「飲む点滴で夏バテ解消」と販売に力を入れている酒屋さんがあります。
面白いのは、その酒蔵の酒で酒屋さんが評価しているのは、甘酒だけなのです。
他の酒はスカスカであると酷評しています。
これを自店のメルマガで全国配信していますから、なかなかに戦う小売店であると観ました。

↑のイベントで燗酒しか利き酒させなかったのは、分かる気がします。だってどう考えたって、オタクの集まりじゃないですか(笑)。

投稿: | 2006年8月29日 (火) 12時01分

上のコメント。私です。

投稿: 合氣堂 | 2006年8月29日 (火) 12時03分

こんばんは京都のパンチです。
先日は楽しい夜をご提供いただきありがとうございました。
燗酒楽園、冷酒、常温、燗、この三種類の違いを味わうことが出来ないのが残念でした。

燗にすれば美味くなるというのは少し無茶だと思います、お酒によっては冷酒の方が美味かったというものがあり、そのための利き酒も重要だと思います、

地酒BARでは最初は冷酒で飲んでいただき、お客様の好みで燗をつけ、決して燗の押し売りはいたしません。

生熟成酒を燗で飲む、これもお酒の楽しみ方の一つとして提供しています。

お酒は考えて飲むものではなく、味を楽しみながら素直に飲めれば最高で、明日の活力に繋がるものだと信じています。

本当に楽しい夜をありがとうございました。
お礼が遅くなりまして申し訳ございませんでした、それでは又お会いして酒を肴に酌み交わす日を楽しみに・・・パンチ

投稿: パンチ | 2006年9月 3日 (日) 18時35分

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