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2006年9月30日 (土)

Take it to the limit

蔵入りした杜氏と地元社員代表みたいな代司とで最初に話すテーマは当然、今年の製造計画である。在庫、酒の出具合であらましの製造計画はエクセルで伝達している。原始的だが、必要玄米量はピタッと確定できる。米の確保は自分の仕事と心得ているが、製造計画の決定は蔵元の専管事項ではない。杜氏達が希望する帰郷期限や設備・日数の制約の中で合意を要する。もちもん米代の調達の問題もある。それが済むと、ちょっとしたテーマがあって、純米醸造でアルコールは何パーセントまで出せるか、という話になった。「飲んで旨い酒」を追求すれば、18.1-18.2%がいいところである。酵母は糖分をエネルギー源として増殖し、CO2とエチルアルコールを排出する。CO2はタンクから出て行くが、アルコールは液内に貯まっていく。これは現代の人類と同じ姿であり、自分達の排出物がその生存を脅かすことになる。蒸留せずに発酵だけで到達させるアルコール濃度は日本酒が世界最高で、日本の伝統技術は世界に誇るべきものだという文章を見たことがある。ともかくアルコール分20%近くなると酵母は死滅してしまう。で、どうやって限界を目指すのか?「追い水」といって、アルコール分を逆に薄めてやって酵母を助けてやるのだ。でも濃度がその分下がるのでは?、といぶかりながらも、伝統の技には素直に頷くのが一番である。微妙なバランスで到達できそうな限界は、おそらく19.5%あたりではという答えを引き出した。しかしそれで純米なら、かなりバランスは悪いものになるだろう。今年5月の酒税法改正で22%までしか清酒と呼べなくなった。超えればリキュールとされる。しかし19%超は事実上アル添の世界である。昨今人気の「日本酒ベースの梅酒(うめさけ)」の場合、飲んで旨いことよりも梅を浸込んでその水分が加わってアルコール分が半分程度まで下がることを見込んで、醸造アルコールの添加により25%程度まで度数を上げておくようだ。税法の改正でそれを22%にしたか、別の方法にしたかは私は知らない。一体なぜ度数が低いと問題なのかと、某センターの技師先生にお聞きしたところ、梅が浮いて液面から上に出ると、空気中の野生酵母が梅を汚染して発酵(腐敗)する、ということであった。では沈めておくために漬け込む原酒の濃度が高いのかということになる。流通サイドというか消費者の方では、純米で漬け込んだうめさけを一部で望んでいるようだが。

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ある共同作業所の方から黒牛使用のパウンドケーキをいただく。酒のイメージに影響なしとして、名称利用の承諾を特にしたのだが。こういうケースの対応には結構時間を取られるうえ、判断が難しいのだ。

 

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2006年9月29日 (金)

もやし

9/28日の夕方、杜氏達4名が蔵入りした。地元組若手3名のうち2名とアルバイトの精米係は19日から精米にかかっている。最若年の1名は今日まで40日間、東京の滝野川で醸造研修を受けており、10/1からフルメンバーで酒造りに入る。

さっそく今日の早朝から「井戸替え」(井戸を清掃、消毒、水質検査すること)にかかり、敷地内の3本の井戸を水中ポンプでいったん空になるまで水を汲み出していた。

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設備関係の業者は蔵入りまでが忙しく蔵入り後はあまり来ないものである。交替に資材関係の業者が姿を見せるようになる。蔵入り後最初の訪問者は「もやし」屋K社さんだった。たまたま蔵にいたので、捕まえる。

「もやし」とは、黄麹菌の胞子のことで、「種こうじ」とも呼ぶ。いためものに入っている野菜ではない。昔、もやし屋から種麹を買うと聞いて、野菜のもやしに麹菌をはやしているのかと思っていたことがあった。あれも芽が出たばかりの野菜のことなので、「もやっと、芽がでたもの」くらいの由来ではないだろうか。

東洋では、でんぷん質を糖化するためにカビを使う。もやし屋によれば、蔵と同じような麹室で玄米に近い普通の米に麹菌を種付けし、通常、蔵では48時間から50時間程度で、麹菌の菌糸が米粒に生えた「こうじ」を出して使ってしまうのだが、「もやし屋」はその後丸3日間、つまり種付けから5日間かけて、菌糸の先に胞子が出きるのを待つのである。売っているのは胞子粒であるが、これに木灰を少量まぜて熟成させるらしい。微量元素が必要なそうな。その木灰とは、K社のものは、椿の若木の枝のものが良しとされるが、ご多分に漏れず確保に難儀されているようで、クヌギのも混じるそうである。京都の会社であるが、木灰は兵庫の山間であるという。当社で3社の「もやし」を使用しているが、杜氏達のもやしの選択基準は不明であった。中に吟醸用と書かれた袋もあるから、それなりの違いはあるかもしれない。酵母のことはさんざん聞かれる時代になったが、もやしのことは今のところあまり売る時聞かれることはない。もう少しこだわって調べるのがいいだろう。

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2006年9月26日 (火)

燗どうこ

Img_3201_1 大阪は寝屋川でのイベントで。

これがたぶん燗酒の提供方法で最良と思われる「燗どうこ(燗銅壺)」である。写真はタイジ製で温度調節ができる。「お燗メーター」という体温計のように徳利の口に立てる温度計をセットで使うと最高のイベント用設営になる。品温と設定温度の差については、45度に設定した時、小徳利に立てたお燗メーターの表示温度は、2分経過で約2度の温度差まで縮まり、非常に正確だった。蔵の立場からすると搬入、返送の必要から車で会場に行かない限り使用が難しい。参加するすべてのメーカーが使用すると会場の電気容量の問題もある。最近の飲食店では、一升瓶を逆立ちさせる、かつての標準形式の酒燗器が必要になるほど燗酒が出る飲食店が少なくなっているので、昔なつかしい「燗銅壺」をカウンターに置いてくれるお店が増えるのが期待される。

今日の酒の講釈の収穫は、「錫の盃」はなぜ良いか?であった。ご来臨の大先輩のお答えは、欠点や特徴が強調されるので「利き酒」向きということだった。銀でも同様の効果が得られるとか。黄金の盃だと、何を飲んでも甘く感じるのだという。いつか試してみたいがすごい蘊蓄の世界だ。聞いているうちにクラクラしてきて、漆の盃の効果は忘れてしまった。でもあれは冷や用でしょ。もしかしたら儀式用?いや、古来、土器(かわらけ)の水盃で出陣ではないか。だんだん立ち話をしているうちにディープに頭が螺旋回転を始める。結局、器の材質と、その形状なのだ。人間の舌はその部位に応じて、甘、辛、酸、渋、苦、旨その他と味覚の感じかたが違うようで、器の形状で舌の接触面積と部位に差が出ることが影響しているようだ。あとは材質だが想像に難くもなく、接触する唇の感覚は漆を塗った木と金属では違うだろうとも。そして温度、これは5度違うと同じ酒でも違って感じる。どうせ飲むなら、一度こだわって見られてはいかがだろう。

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2006年9月24日 (日)

「電子レンジ」てどうよ

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いきなり和歌山弁の題名で恐縮だが、

和歌山県紀の川市北中(旧打田町で川の北側のやや和泉山脈寄りの農業地域)で、「食」の勉強会に参加して、「身土不二」とか「マクロビオティック」の基礎を教わってきた。やや南向きに傾斜した地域で見晴らしがよく、龍門山がきれいに見えた。ちょっと秋っぽい空の色、稲穂の色づきとの調和がすばらしい。

  それはよかったが、いただいた資料で気になるのが「電子レンジ」の害悪についてである。酒業界のネタのひとつが、「燗酒するのに、電子レンジでいいか?」がある。

  器は熱くないのに、中身が極端に熱くなっていたりで、均等に加熱されないからダメだ、程度の認識であるが、専用の酒燗機をメーカーも簡単に提供しない、飲食店もそう燗酒も出ない状況で、たまの注文ならレンジでいいや、の店も増えている。だいたい全国の多数銘柄を取りそろえていることを標榜している店に、1社が協賛で酒燗機を提供するはずはない。昔はたいてい自社製品だけ売ることと交換に、酒燗機、お銚子等、看板をすべて開店時に、清酒メーカーがただで提供していたのだ。今でもあるらしいが。

 ところが、そんな理由で問題にしているのではなかった。電子レンジというものは、http://ww4.enjoy.ne.jp/~macroway/reg/evi/microhaza

から引用、短縮すると、「調理のエネルギー源としてマイクロ波を使うのが電子レンジである。電子レンジにはマグネトロンという管が入っていて、その中で波長約2450メガヘルツ(2.45ギガヘルツ)のマイクロ波を照射する電磁場が作りだされ、物体の電子に作用する。このマイクロ波放射線が、食べ物の分子に作用する。全ての波動は、周波が一回転する間に極性がプラスからマイナスに変わる。マイクロ波の場合、毎秒何百万回極性が変化する。磁石に南極と北極があるように、食べ物の分子とりわけ水の分子にも、プラス極とマイナス極がある。市販の電子レンジには、約千ワットの交流電力が備えられている。マグネトロン管から生じるこれらのマイクロ波が食べ物を爆撃することによって、マイクロ波と同様に極性をもった分子が毎秒何百万回、回転する。このように非常に激しく掻き混ぜられた分子は”摩擦”熱を生じ、その結果食べ物が熱せられる。この尋常でない加熱方法はまた、周辺の分子構造を相当に破壊し、しばし分子を引き裂くか、力づくで分裂させる。」であるから、特定のアミノ酸を異性体に変化させる、とか、母乳を電子レンジで加熱するな、とか、血液をレンジで加熱して輸血すると患者は死ぬ、とかいろいろ論文がでている。

翌朝、パンをオーブンで加熱したけど、続くかな。幸い今日は燗酒野郎達とも会えるから聞いてみよう。

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2006年9月20日 (水)

米の入荷始まる

今年も原料米の入荷が始まった。19日に第1号が富山県の五百万石180俵、取れたての新米である。先日、訪問したばかりのJA砺波野からの米が最初の入荷になったのはうれしい気分になる。20日が兵庫県の山田錦(これは春から冷蔵保管されていたもの)130俵である。山田錦はどうしても取れるのが10月半ばとなる性質があるので、製造シーズン当初の麹米分としてトラック2台分くらいは、冷やして置いてもらう必要がある。神戸市北区八多町附物が栽培地で、栽培歴確認済のスタンプが光る。運転手君に聞くと2時間半で着いたというから、朝早いにしても近いものである。なるほど「兵庫六甲農業協同組合神戸北営農支援センター」が出荷元と伝票にあるが、電子地図で見ると、六甲山の裏側で「JA兵庫六甲神戸北低温倉庫」と長ったらしい施設が載っている。山陽道の「西宮北」あたりで乗ってきたのだろうなとすぐわかってしまう時代である。

だんだん緊張感が蔵では高まってくる。Img_3081

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2006年9月18日 (月)

大阪酒塾 第2回

大阪酒塾が開講して2回目の会合となった。懇親会はこれもすごい所だが、「たこ茶屋」さん(曾根崎新地1-11-19 北新地スタービル6F 06-6341-6300)。尾垣淳治さんは、科学的な酒の化学物質解明を国税の鑑定官とか醸造学者以外の分野から取り組むことを提唱されている。一般消費者も対象にした酒の会で聞ける話のレベルなら日本一、とうとう本ちゃんの科学者(薬学博士)が酒に入っている化学物質から香味を追求し始めたわけだ。これが東京でなく大阪から、ということで私がどれだけ業界の将来に希望を回復できたことか。こういう理由でどう感じるという説明が合理的で説得性があった。

糖分、エキス分、酸、香味成分、どれを取っても1.8L瓶の中の酒という液体の中に、何という化学物質がどれだけの量が入っているのかなど、充分明かになどされてこなかった。酸で言えば中和して酸の総量を推定するというアプローチである。思うに官庁・大学とも酒税の確保、産業行政の観点であったから、生産量至上主義の時代背景もあって、酒に含まれた香味物質の詳細な正体を徹底的に解明する方向には行かなかったのであろうか。共同投資してコンピューターを活用して分析することを提案されていたが、ちょっとまだ私にはそこまでの必要性が飲み込めなかった。

そういう氏に今日の私がした質問は、添加される醸造アルコールと、純米酒で自然に発酵して製成されるアルコール分は、同じエチルアルコールなのかということだ。水にクラスターがあるごとく、蒸留していないエチルアルコールも鎖状につながったりしていないのか、という疑問があった。こういう質問をした場合、得られる答えが今までとは違っている。C2H5OHのOのねじれがNMRで分析できるが、純米のは重なっているのではないですか、という回答であった。焼酎、醸造アルコールでも熟成するとその部分で分子が重なってくる。水分子が入り込んでくるのか、水和するのか、エチルアルコールどおしで重なるのか、理解しきれなかったが、要は熟成とは水和に近い、というようなことで、文系の私には、また途方もない分野が目の前に開かれてきたように思われた。つまり純米酒のアルコールは分子が重なっていて体へのショックが柔らかいということだ。

NMRとは、核スピンから生じる核磁化を利用して、分子の運動の様子や原子核の間の距離と角度を調べよう、という道具らしいが、製薬会社にいらっしゃるので800メガのNMRが使えるとか、自分で作った低クラスター水を飲んでいるから酒が残らない、とかおよそこれまで聞いたような話ではなかった。

酒については、心情的、文化的嗜好品の世界で、基本的には「お遊び」「息抜き」のテーマである。やれ器の形で酒の味が変わるの(変わって感じるのは正しいがそれだけでは無理がある)、しっかり造った生酒は常温で保管しても濁らないとか、そう言う「オイオイ」というような話も、それはそれでいいと片付けられるのだが、こういう科学的合理性のある真剣なアプローチが酒の香味になされることが、また一般への啓発に役立つことだろう。これからも氏の科学的な酒の講釈に期待しよう。Img_3054

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2006年9月16日 (土)

生ヒネ

Img_23102 写真は当社がイベント参加時の標準的な提供スタイルである。生酒の保管と提供法にはいつも頭を痛めているが、9月15日、鑑定官先生に質問のできる機会があったので伺う。というか最近、詳しそうな人にあえばそういう質問ばかりしているのだ。

冷たくすると、人間甘みに鈍感になる。これを別の元鑑定官が「味が引きしまる」という表現をされたと思う。一方燗にすると甘みが旨味に変わり、酸がまろやかになる。私は酸と渋みは燗すると弱く感じると表現していた。

この日は「生ひね」の程度について保管状態の異なる生酒を数種類利いていただき、ご指導をいただく。一時期、生老ねがわかるのがマニアの資格で、この酒は生ヒネしているからダメだとかいうと、格好いいような時期もあった。最近あまり聞かなくなったが、たぶんそういう意見を言う人が嫌われた可能性が高い。なにしろ大抵の商品は程度の差こそあれ生ヒネ香が出ている。訓練を積んだ鑑定官は閾値(ある刺激によってある反応が起こる時、刺激がある値以上に強くなければ、その反応は起こらない。その限界値のこと)が低く、ほぼ全品感じてしまう。大抵は「まぁこの程度なら一般市場に流通させるにはOK」とのお答えになるが、さすがに3年貯蔵の生酒は、「甘く、重たくなっている。飲みづらい傾向にあるから、もしかしたら、氷を入れて解かせながら飲むといいかもしれない」というお話で、それでも「でも好みでしょうから」で済んでしまった。要するに、あまり気にされなくなったのだ。とはいえ生ヒネは強いと、飲みにくく、モワッとした、あるいは、ムッとした感じの香りに感じる。味はザラッとした感じやダレた感じになる。甘さが浮くとか表現もされる。

具体的対処とすれば、ちょっと来てるな、という時は、ギンギンに冷やして飲むことだ。

貯蔵の観点では、搾ったらできるだけ早く低温貯蔵してしまうのが最適らしい。サーマルであろうがタンク貯蔵は瓶貯蔵より生ヒネしやすい。温度等は機密として書かない。生ヒネ香は活性炭濾過で取れるが甘さは取れないで残ってしまう。出荷できないと判断した場合は、再濾過して辛い酒と調合することになる。

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2006年9月14日 (木)

足下の五百万石

秋の訪れを感じさせる雨降りの午後、和歌山県紀の川市打田の五百万石の栽培田を訪問した。専業農家K氏がこの紀北でも酒米栽培を始めてくれたのは本当にうれしい。彼が6反、もうひとりが1町と約120俵の地米の好適米は私が買うのだ。今年は少し地元米比率が上昇しそうである。今の感覚では純米酒「きのくに」をこれで作れれば最高である。K氏は70歳だが元気で1.5町の米作をしている。富山の35町の専業農家とは規模はまるで違うが、他にもイチゴ等を栽培しているうえ、二毛作が可能な紀の川平野であるから簡単に収入の比較はできない。イチゴの植え付け(定植)で忙しくなる前に稲刈りを済ませたいので、ワセ(早く収穫できる米種)を採用したという。五百万石は酒米のうちワセ(若生)である。残りは日本晴だが、話していると日本晴も馬鹿にはできない品種らしい。日本晴というと普通酒用の地味な米で飯米にもなる、程度の知識しかなかったが、寿司用にはいいらしいのだ。寿司は昆布を引いて炊き込み、酢と砂糖をしみ込ませる。堅く炊きあがる日本晴にはよく染みいるので、寿司屋が好むという。同行した米屋の会長がおっしゃるには、最近はその傾向が一部弱まっているそうな。つまり回転寿司の機械巻きには堅い米は向かない。また若者は小児期から柔らかい米に慣れていて堅い日本晴は敬遠される。マヨネーズを寿司に塗るような時代になってはどうもしかたがない、と。意外な蘊蓄を聞けて喜んでいるうちに雨は大降り、日も暮れてきた。雨中案外いい色に田は見受けられた。豊作である。Img_30512

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2006年9月10日 (日)

ぬる燗とは何か

Img_2968 あまり酒通には見えない彼が、急にぬる燗を希望したので、私は驚いた。それとなく、なぜかをさぐったが、特に一部の雑誌や、特定の酒屋の影響はなさそうなので、一般の人も少しは燗酒、それも「ぬる燗」が飲みやすく、酔い覚めもいいということに気がついているのではないかと、少し希望をもてた。もちろん、私は冷酒だ、燗だにはこだわないが。それにしても、「ぬる燗」を希望して出てきた酒は、どう見ても日向燗(灘の酒用語集によれば30度程度)で、人肌燗(同35度程度)にもなっていないようだった。きっと徳利は冷えた状態だったうえに、急いで出したようだ。「ぬる燗」というと、灘の酒用語集では従来40度から45度くらいのものをいうが、平成6年頃より40度近辺の酒ということになった、とされる。一体平成6年頃に何があったのだろう。酒造業界がその時期そんな議論をしていたとは聞いていなかった。あまり通ぶって細かい用語を作るから敬遠されるのか、細かい違いを追求して違いをわかり使いこなすのが文化なのか、少し考えさせられるが、対消費者への情報戦略としては、あまり細かいのはいかがかと思う。45度前後以下は広い意味での「ぬる燗」でよかろう。

大ベテランの業界関係者が言うには、燗すれば少しはアルコールも飛ぶ(蒸発する)から酔いが抑えられるそうだし、科学的にも沸点が水より低いエチルアルコールは50度程度でもかなり蒸発するだろうとは、私でも想像はつく。さらに香気成分(カプロン酸エチル、酢酸イソアミル等の吟醸香のもと)も蒸発するから、高い酒を燗するのはもったいないという意見にもつながる。

おもしろいのはある漫画家が、燗酒でイベントをすれば平均飲酒量が増えるということを指摘していることだ。清酒の消費量を増やすために燗酒を勧めるということでもないだろうが、国税局が言い出したらそれは、そういう動機も入っている可能性がある。

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2006年9月 5日 (火)

では冷酒は何なんだ?

燗酒だけのイベントの余韻も消えないまま、次の出番は、地酒専門店の元祖、中村國夫氏の偲ぶ会である。お酒を冷やして出す蔵元は、氷入れを自分でご用意下さい。冷酒か常温かの提供で標準的設営。ホテルで設備もあれば燗酒を出す藏も出てくる。先週来、燗酒にこだわることにこだわっている私は、参加者の元国税庁鑑定官のU先生を捕まえた。

1.燗酒にすると酸や雑味が和らぐというのは真か?  真

2.酒容器を氷水につけて冷酒にして出す意味は何か? 

  少し冷やした方が引き締まって、香味が整う。(バランスが良くなるの意)

3.冷やすと香りが出ないのではないか?

  鑑評会クラスでないかぎりその心配はあまりない。かえってよろ    しい。

ということです。1.についてのお答えをいただき、自分の漠然としていたイメージはだいたい合っているのだなと納得できてうれしかった。さすがは鑑定官だ。

 以下は私見。冷やすと渋みや苦みが強くなる酒があるが、こういうのは燗酒にすると良い。燗をすると酒がうまくなるというのは、そういうタイプがあるという理解でいいようだ。時にワインファンと見られる方から質問をいただくことがある。何度くらいで飲めばいいですか?

-特に指定はないですが、ぬる燗から少し冷やすくらいまでの範囲はお好みです。酒質によっては言いたいこともあるが、たいていこれくらいでお答えしている。

 お土産にもらったやや香り系の純米吟醸を舐めながら思った。香り系というか吟醸クラスは低酸である。酸味が薄く、つまり味がきれいだが、芳香成分が多い酒は、マニア系が言うとおり「香り系」なので香りが勝っている。少し香りを抑えてでも冷やせば酸味を感じやすいから、味わうには香りと味のバランスが取れてくるというわけだ。飲めないが香りを中心に酒を選んでいる人もプロも含めて多いから、香りを中心に楽しみたい向きにも常温かやや冷やすといいだろう。逆にどっしりした酸味や旨味のある酒は常温からやや燗した方が、バランスが取れてくる。酒を味わいたい向きにはそれがいいだろう。

 どうしたところで年々、市場の登場人物は替わっていく。中村会長には本当に助けていただき勉強もさせていただいた。関西まで帰ってくると、知人からある藏の社長交替情報の電話があった。そのうちわかるだろうでは、自分がリタイアするまで何もわからなかったままになってしまう。人、時間、そして酒。大切に、大切に。Img_2856

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2006年9月 2日 (土)

自転車 ルイ・ガノウエアー

自分で自転車を買ったのは学生以来だ。隠れ環境派か、エセか。駅前まで車で往復すると軽でも270ccのガソリンが必要になる。東京と往復するのを、新幹線にすれば飛行機より数倍温暖化ガスの排出は減る。とは言え自分が乗らなくても飛行機は飛んでいるし電車も走っている。どう見ても費用は大差ない。どうも自分の実感ではJRが高い。飛行機、私の場合は関空だが、いろいろ特典や割引があって、新幹線より安く感じることが多いのだ。せめて市内は自転車でと思うが、雨の日もあるだろう。家族にはどうせすぐ置き忘れるか盗難されると言われる始末だ。スポーツタイプでママチャリよりも軽く、7段変速でスピードも出る。3速では随分楽である。仕事によっては大いに活用が期待される。小回りがきくのだ。Img_2155

和歌山エコビレッジというNPO法人にちょい役で参加することになったのが契機だろう。ちなみにこれから出発するが、東京へは飛行機である。これは、早く「減農薬米」使用の純米アイテムを作らないといけないだろう。

 さっそく米屋の大会長に電話すると、すぐいろいろ教えてくれた。無農薬はちょっと無理らしい。まとめて次回報告したい。

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