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2006年10月28日 (土)

酵母が最近へたってないか、という懸念もあり、協会酵母を今年は最初から使用している。そんな中で、和歌山市内の中学校1年生のクラスが地元企業の見学に来てくれた折り、出てきた質問が泡のことで考えさせらてしまった。「どうしてビールは栓を抜くと泡が出るのに、日本酒は出ないのか。」という質問に答えられなかったのだ。

泡の中の気体は二酸化炭素である。日本酒の場合、上槽(酒のもろみを搾って、酒粕と原酒に分離する)時にまずほとんどの酵母菌が粕側へ行ってしまうので、多少色は着いているが透明な生原酒の方には酵素が残っているだけである。一方「活性にごり」と称する、わざと粗い目で濾した原酒は酵母も多く瓶内に残っているし糖分も多いため、瓶に封入してからも発酵が続き、したがって瓶内でも二酸化炭素が発生し気体圧力を高めることになる。最近はわずかに隙間を空けて瓶内圧力を抑える栓も使用されているが、ものともせず通常の栓を使用した製品もあり、開封時に天井まで栓が飛んだり、大量に発生した泡で中身が半分くらい噴き出してしまう代物もあって、地酒業界の名物になっている。

ではビールはどうして泡が出るのよ。

地ビールメーカーさんに聞いて見ると、清涼感を出すため後から入れてるのも多いそうで?、まぁ発酵タンクは密閉だし、発生した二酸化炭素が液内に蓄積されることが多い、というあたりらしい。

当社が考えなくてはいけないのは、その泡ではない。ある蔵元が泡有り酵母でなくては絶対いけないと力説していた。協会9号といったときに、泡が出ない901号も含めて言うことが多いが、泡を生成するかしないかで、はっきり酒に違いを生じるのかどうか、正直見当がついていないのである。大抵は泡なしを作業効率のため採用している。高泡時に泡を紐を付けたファンで飛ばしたり、発酵タンクの内壁にこびりついた泡の粕を拭き取ったりという大変な手間が省略されるからだが、もしかすると、泡=タンパク質を生成する、それを取り去るなら物理的にもろみは軽くなる=味がきれい、とか、泡で液面が覆われ香り成分の飛散が抑えられるとか、そういうことはないのだろうか。労務軽減要請も強い中、やりたがる者はないはずなのだが。当面、元気な優良酵母を得るため、蔵内で培地を作り活性化してから使用している。蔵独自酵母とか地方オリジナルの酵母とか、売るためのストーリー作りも大切だが、酒が良くないと話にならない。また培地というと聞こえはいいが、甘酒を濾紙で濾したものでとても栄養がある。(写真は麹室内で増殖中の酵母)

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2006年10月19日 (木)

だんだん固まる

10/19入荷の手書きのメモが蔵から廻ってきた。日高川町の美山錦が入荷したのだ。やっと今年の県内の契約栽培米数量が固まった。美山錦135俵。山田錦363俵、五百万石110俵で合計608俵が県内産。全体の17%程度が地元米比率とやっと分かったのだ。これは少ないとは言え、絶対県内他社よりは多いし、酒造好適米に限れば県内のスイーパーであるのは明かである。ブログに書いて言うのは悪いが、おおっぴらに宣伝に使わず着々と進めるつもりだ。もちろん、地元にこだわるだけでなく、産地を選ばず最高の原料を顔の見える関係で確保する方向も進めている。今年は兵庫県特A地区の山田錦のルート開拓したり、県外の契約栽培地区を増やすこともできた。米に注力できた準備シーズンだったかもしれない。

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2006年10月14日 (土)

1号仲

9/29日に蔵入りして、6日に「もと立て」、一週間ほどで酒母が出来て、本仕込みは初日が添え、翌日が踊りで1日空けて、その翌日が仲、明日は留だが、仕込み1号目の仲を上から覗く。

もうフチから泡がはじけているから酵母は人間の都合、思惑とは無関係に増殖している。うまく写真は撮れないと、つくづく思う。肉眼の千分の1もカメラは捉えられないのか。Img_35711

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2006年10月13日 (金)

飲まなやってらぇやな

「紀伊民報」という良識ある地方紙が和歌山県にはある。13日の金曜日三面におもしろい記事がでていたが、タイトルは「飲まずにやってらんない?」。2005年度の県内の酒類消費量が7万5500キロリットルで9年ぶり増加(+5.3%)、と和歌山税務署が発表。景気低迷に加え、人口も減少しており成人数も減っているのに、なぜ増えるのか分からないと税務署が言っているらしい。大阪国税局管内合計は1.1%減少だから、たしかに変ではある。不況でやけ酒か?というタイトルなのだが、和歌山弁でそのタイトルを言えば「飲まなやってらぇやな」となる。

県内成人1人当たり消費量は+6%。種類別内訳では、ビール-5%、発泡酒-16%、しかし第三のビールは約6倍、焼酎+7.9%、リキュール+18%、清酒+7.8%の7080キロリットル。

酒造組合の統計では、和歌山県の清酒課税移出数量は、17CY(H17.4-18.3)で3188キロリットルの-5.3%。全国の清酒合計では736,803キロリットルで-4.0%。しかし輸出が7752キロリットル(+1.5%)ある。当社は約270キロリットルで、県内清酒業者約8.5%の売上シェア、県内出荷比率から推定すると和歌山県内で消費された清酒の約2.5%、40本に1本が当社製品だったことになる。紙パック製品はないし、普通酒は壊滅状態の当社であるから、高級酒部門ではそれなりのシェアだとも言える。全国業界で計算すると、0.037%(370PPM)で増加してきている大気中の二酸化炭素濃度といい勝負であり、しばしばギャグに使っているネタである。当社にしても3割以上が県外出荷できちんと分析はできないが、県内で飲まれた清酒はどう見ても7割程度が県外の清酒ということになる。

 さて、たしかに和歌山の景況感は悪く、一応全体として見れば回復傾向にあるようだが回復力は弱く、住友金属とか一部は除いて、地方・規模・業種と悪い方にきっちりはめこまれた感がある。最近も和歌山県は近畿ではないだろうとからかわれたが、ごもっともな意見と私も思うほど近畿2府4県から脱落した経済状況らしい。何せ古代律令制では畿内には入らず南海道ですからね。紀伊國は。

  若い頃はそういう時すごく悔しく僻んだものだが、そういう針はとうに振り切れてしまった。「経済的」にはたしかにそうだ、というだけである。それに活動の範囲を県内に限る必要はない。ここは業界を超えて連携を図り、果敢に運命に挑戦しなければならない。その方がおもしろいだろう。

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2006年10月10日 (火)

天野へ再挑戦

午後から出かけて伊都郡かつらぎ町上天野と有田郡清水町久野原の山田錦栽培田を検分、両地で丹生都比売神社と清水八幡宮に参拝、地元の神様に挨拶を忘れず。運良くどちらも宮司さんにお目にかかれた。「地産地消」をめざす限りは、地域文化との繋がりもきちんとしておかねばならない。「天野」(あまの)地区は和歌山では最良の米産地とされてきた。Img_35251 標高450から500mの高原で盆地状の地勢である。前の吟醸酒ブームのまだ以前、つまり昭和50年代、この地区で山田錦を栽培してもらおうとしたのは、当社(父)と日本城さんであったが、まだ自信たっぷりの農家に面倒がられて一旦撤退している。(写真は上天野の山田錦栽培田)

私は平成元年(1989)酒屋に戻った後、栽培の難易度等を考え、まずは早稲の美山錦を、有田郡で始めこれを10数年継続させてきたが、契約面積、購入数量とも伸ばすことはできなかった。どうしても美山錦では商品企画に制約があった。やはり山田錦がほしい。私の努力も無駄に終わるかに思われたが、そのうち農業情勢も変わり、酒米に農家も米屋も目を向け始めた。蔵が本当に農家と直接契約するのもいいが、やはり米と農家、JAに知悉した米屋を間に入れることでどれだけのことがあるか、この数年思い知らされた。各県、県内各所に契約栽培先をつくり、今年この天野地区の山田錦も買うことになった。いわば親に代わって再挑戦するのだ。

1時間の移動で有田川町(うち旧清水町地域)久野原へ着く。道路交通もこの10年で一変している。以前なら同じ日には絶対廻れなかった。こちらの栽培地は標高約270m地点、有田川沿いに東西に伸びる谷筋で、局地的に西向きの地勢。周りに人工物が見えない曇った夕暮れに、倒れる寸前まで穂を垂れる山田錦を眺める。これでまともな酒にしなかったら祟りがありそうな一種威圧感を感じる荘厳な輝きである。たぶんこの一両日には刈り取りとなるので今しか拝めない色調で、写真がヘタなことを反省する。Img_35412

清水八幡宮に参拝。酒と山田錦一束を捧げる。こちらの八幡様は石清水系とか。強い神様だと地元の方は語る。若宮様とはよく聞くが、八幡様が応神天皇、その子仁徳天皇が若宮、と。不明を恥じる。

Img_3549 最後にぜひにということで手打ちそばをいただく。山中にえらい所があった。地元で栽培されたそばを朝石臼で引くというから、数日前に予約要。マダムは相当な文化人である。泊まり込みでぜひどうぞ。「有田川町清水1270-9 紅葉(くれは) 0737-25-0966」

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2006年10月 9日 (月)

純米酒フェスティバル

毎回は出ないが、今年秋のフルネット社の「純米酒フェスティバル」へ参加してきた。10月8日(日)目白の椿山荘である。今年は昼の部、夜の部各550人にして、少しゆったりした感じだった。蔵は50蔵である。だいたい30蔵が毎回出てきている感じで、後の20蔵が毎回入れ替わるというイメージであるが、この秋は関西の蔵が増えた感じがする。今日の関心はやはり参加の蔵元達と挨拶がてらの雑談である。当然関心はあるので、あまり厭がられないよう情報交換するのが楽しみだ。予習して地図で参加蔵を追っていくと、東北は市町村合併が進んで所在地を探すのに時間がかかった。でも電子地図って便利だなぁと一人で感心していたけど。

純米酒のフェスというからは出品しているのは純米酒ばかりだ。錚々たる蔵元が多いので、あまり変なものは出せない。今日はお隣が「開運」さんで光栄であった。

各蔵、やはり細々した所で自分の造りやポリシーにこだわっているようだし、それがないと個性も出ない。お客様もちょっと同じ顔ぶれになっている傾向があるので気になる。熱心な人は毎回参加するから当然そうなるわな。会費が同じなら、お店で一杯3000円もとられそうな高級酒から飲んで廻りたい気持ちもわかる。こういうイベントが増えてきているので、蔵も日程が混んで調整が難しくなってきていImg_3511 る。小さい蔵なら一層そうだ。お陰様でまだこの程度のイベントでは疲れないが、精神的には「きりがない」なぁという疲労感をこの数年感じているのだが。

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