新酒を舐めて想う
新酒ができると、以前は杜氏がうやうやしく宇平の利き猪口に円形に切ったガラス板をのせ、母屋に運んで来てくれたものだ。父がまず、まるでわかっていないにしても利いて、杜氏に礼を述べてから神棚に上げた。
その頃、きっとひどい赤字続きだったのだろうが、今よりはゆったりした慣習があった。こんな所にいたらオシマイだと一旦家を出てまた帰ってきた。必死だったのでその当時の慣習がどうなっていたのかわからないが、10数年建つと蔵元も社員も忙しいのは結構だが、もう搾ったはずの1号の新酒はどこへ行ったのかと思っていたら、冷蔵庫の中にラップでくるんで置かれていた。
しかたがないので、せめてイベントでもらった錫の猪口で自室で利いてみる。新酒は製品となった本生無濾過以上にガスっぽく、普通甘く、また酸も強く感じるものである。錫だと良い点も悪い点も強調される。垂れ口の酒はもっとガスッ気があるし雰囲気だけなので、利き酒にはならない。
今年も酒が造ることができましたという感謝の言葉がすんなり出る年になり経験をへたが、まだまだこの道は続く。第一、造ってから売るまでが、また大変なのは百も承知である。
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