乳酸
酒母をつくる時「乳酸」を使用しますが、原材料に表示しないのは何故ですか?という高度な?質問がありました。ここで回答しておくと、UFAQ(非高頻度質問及び回答)としてサイトネタになります。
加工助剤として表示義務なしとされます。一般に乳酸を添加しない生もと系酒母(といっても添加する場合が多いらしいが)と比較して清酒中に残存する乳酸の量に差が認められないから、とされます。
加工助剤の定義として、1.最終食品として包装される前に食品から除去されるもの(濾過助剤、おり下げ剤等が該当)、2.食品に通常存在する成分に変えられ、食品中に天然に存在するその成分の量を有意に増加させないもの、3.最終食品に極わずかなレベルでしか存在せず、その食品に何ら影響を及ぼさないもの、があげられ、乳酸は2に該当となります。
速醸もとづくりでは、通常汲み水100リットル当たり790-900グラムを添加するとあり、純米用100㎏(こうじ30㎏、蒸し米70㎏)もとで、170リットルの汲み水と約1㎏の乳酸が使用されています。乳酸は20㎏入のポリエチレン製容器で90%水溶液として納入されています。1㎏当たり675円程度です。
普通の速醸なら仕込当初より、高温糖化もとなら52度程度で仕込み8時間程度保温の後40度程度になったところで添加するようです。PHを調整し酸性環境を作って目的とする酵母を増殖させるのですが、本仕込み後も平行複発酵であるため、糖化、発酵が行われるなかで、当初使用された乳酸も幾分は分解したり新たに発生したりするようで必ずしもそのまま残るようでもないらしいのですが、発酵タンクの中の化学反応はすべて解明されているわけでもないのでおおよその説明しかできません。
どうも生もと系酒母では使用しないのが普通ということで、PR材料として強調された可能性があります。悪いとは言いませんが、好みの問題と思われます。
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