早なれ寿司
地酒たるもの地元の食との関わりは欠かせない。雑誌とかの取材でも、御社のお酒にあう地元の食を紹介してください、と必ず聞いてくる。ところが地元というのもは概して外から見るよりどろどろしていて、窮屈なことも多いのだ。最近も鯖のはやなれ寿司を紹介するのに、親戚どおしだが店名はほとんど同じというのを、別の方の電話番号で掲載してしまった。家族でも好みは違うし立地その他で買いやすさだのこれまでの付き合いだので違う店のことを考えてしまうのもこちらとしたはしかたがないことではあった。「あそこの電話何番だった?」などと社内で聞いたのが失敗の原因だった。指摘されて訂正記事を書いてもらったりする手間は、地元の食品を好意で紹介することなど煩わしいと思わせるのに充分なものだった。こんどから地元にろくな食い物はないと言おうか。しかしそこは頑張る、これが大切だ。
海南市といっても昔の海部郷、紀北の海岸沿い地方である。紀州全般に言われることだが、ローカル加工食品とは塩を使った保存食、調味料となる。梅干、醤油は有名だが、金山寺味噌、そしてバラエティーに富む紀州名産の寿司である。小鯛寿司、またはちゃりこ寿司、鯖の本なれ寿司、はやなれ寿司、紀南の方のめはり寿司。だいたいがにぎりではなく、押し寿司である。そして喫食頻度が最も多いのは、やはり鯖の、それもはやなれ寿司であろう。これは各家庭で漬けられることも多い、紀州のソウルフードである。プロのお店が知ってるだけでも各町に1,2店挙げられる。これはある意味街の顔でもある。
和歌山ラーメンを食べに入ると必ず鯖寿司(早なれ)が、こちらは略式なので、ビニール製の笹の葉をのせてまたラップして各テーブルに置いてある。待ってる間に食べるのが作法だなどと書いた雑誌があった。本ちゃんは、あせ笹の葉に巻かれて杉の桶に入れて漬けてあるのよ。 必ずのせられているしょうがの質も違う。笹葉の香りと殺菌力が酢と砂糖を加えられた飯と相まって、野趣のある風味が、当社の純米酒「黒牛」の酸味とかにとにかく合う。きれいな淡麗辛口ではなく酸味とか幅のある純米酒くらいがいい。
しばらく、寿司シリーズになるかもしれない。順次公平に紹介していけば怒られなくて済むだろう。
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コメント
早なれ寿司の記事を拝見致しもうしたが、なかなかに紀州の食文化をうまく表現されておられるゆえコメント仕る。
それがしは藤白の鈴木氏の流れをくむ者にござる。
貴社製の酒はよくいただくが、私的には一掴みが好みにてござる。嫁は黒牛の冷酒を嗜みもうす。
それがし若輩にて未だ本ナレの風味には慣れもうせぬが、早ナレなれば週に一度は食してござる。貴候が申される如く黒牛とは誠に相性が良きものにてござる。
それがしヤフーにて「さすらいの武士」なるブログを公開致してござれば、是非郷土の名産を紹介致したく存じもうすが、リンクなど致しても宜しゅうござろうか?
ともあれ酒についてはたいへん勉強になり申した、また参考にさせて頂く所存なれば宜しくお願い申しまする。
投稿: モノノフ | 2007年12月31日 (月) 00時26分
コメントありがとうございます。当然リンク歓迎です。メールで別途当方のこともお知らせします。今も紀州ご在住ですか。
投稿: 不断齋 | 2007年12月31日 (月) 12時40分
ご返答ありがとうござりまする。早速ブログにてリンクを試みまする。それがし藤白に住みて有余年、もしやご貴殿が名手酒造の代表者であらせられるならば、おそらくはそれがしをご存知やもしれませぬな^^
以前JCに居りし折には酒を酌み交わしたこともござるかと存じまする。御貴殿より一年早く入会致した八七会にては最若輩にてござりもうした。昨年大晦日の酒宴にても、越後湯沢の上膳如水と名手の黒牛が宴の主でござりました。ではごめん
投稿: モノノフ | 2008年1月 6日 (日) 22時54分
なぁんだ。たまには遊びに来て下さい。Kちゃんでしょ。こういう仕事をしてんのですわ。
投稿: 不断齋 | 2008年1月 8日 (火) 11時23分
ばれ申したか^^でもやはりHPよりブログの方が親しみやすいですね。「さすらいの武士」ではいつもこんな侍言葉でやってまぁす。また来ますねw
PS:明けましておめでとうございます
投稿: モノノフ | 2008年1月 8日 (火) 23時11分