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2007年5月 8日 (火)

偏平精米

 今日は精米機会社の代理店が来訪。偏平精米と原形精米の話になった。米粒は球形ではなくラグビーボールを腹から踏んで平らにしたような形状であることは皆さん知っての通りである。米の内部に行けばいくほどタンパク成分は少なく、きれいな酒を造ろうとすれば米の芯で酒を造ればよいとされる。表面からまんべんなく同じ厚さに削るのが原形精米、一方米粒の長軸方向には厚く、胴廻りの短軸方向には薄く削ろうとするのが偏平精米である。米粒の内部の形状から、偏平に精米すればあまり削らなくともタンパク含有率の低い白米が得られるが、某資料によれば10%から15%精米歩合が高く(米が黒く)とも同等のタンパク質含有率となるとされるのだ。

 遠心力の作用から、米粒がすいた状態で精米室を高速に回転させるほど、遠心力の関係から長軸が回転軸と垂直に近い方向に倒れ精米機のロール室内で回転する傾向となり、長軸端部がより削られる結果となりがちなので、原形精米となる。一方米粒がより密な状態で精米機の回転数を低速にすれば、重力と粒密度を高めるため米粒は長軸を鉛直方向にする傾向となり結果として胴回りがよく削られ、偏平精米となる。ならば皆そうすればいいと思われるだろうが、回転数を遅くしないと胴割れしやすいという問題がある。

 ということで、モーター回転数をインバーター調整で遅くして、アンペア数を上げ、米を精米室に閉じこめる力を強め、シャッターの開きを下げる(精米室に米を多く入れる)ことにより、結果的に長時間かけて削ることで、偏平精米に調整するということである。60%に精米するのに75時間というデータも見せていただく。これは丁寧に原形精米する場合の3倍以上である。あまり米を磨かなくても酒がきれいになる反面、精米スケジュールとか電気代、人件費の問題もあって、定着運用している蔵はごくわずからしい。精米機が余っているとかの場合にしか機械運用上試せないという外に、原形精米でも最高品温を抑えるとか言いようもあるし、精米歩合が黒くても精米の仕方がいいから云々、というのは説得材料に乏しいきらいがあるのだろう。同じ精米歩合まで削れとしか言われないとか、極わずかのマニアにしか言ってもわからないネタなら、精白を白くしたらいいし、そうでないと精米が間に合わなくなるのだ。ワンガリ・マサイ提唱の「もったいない」運動はすばらしいことだし、低い精白歩合を宣伝材料として何が何でも磨きたおして、良い酒だとする思潮は変わってきているのはけっこうなことである。高精米歩合の燗酒向き清酒などよくやってくれたと私がいいたくなるくらいである。とは言え、今日までの何人かの説明を聞いた私は、無理に偏平精米を実施して、それを宣伝文句にしようとは思えなかった。

 

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コメント

ども!最近でこそ精米歩合を競って削り捲る酒蔵は
減りましたが、依然その路線の酒蔵も存在してます。
素人飲兵衛から言わしてもらうと削るほど、結局
味が単一化してしまってるように感じます。
確かに美味い酒もありますけど、果たして削ったから
この味を出せたのか???疑問が残る時もあります。
それと・・・削った米は何処へ行くのでしょうか??
もっとも○姫なぞ米焼酎にしてるようですけど・・・

投稿: inaokan | 2007年5月 9日 (水) 20時18分

 いいコメントありがとうございます。糠の行方は誰でも気になるでしょうね。当社の場合、設定された精米段階に応じて、糠は赤、中、白、特白と4つの別々のタンクに出てきます。これを担当者が20㎏ずつ計って米袋に入れて置きます。ときどき仲買人が取りに来て、どこかに売りさばくのですが、聞いた話では、赤は肥料、中は肥料、飼料、白、特白は酢、焼酎、そして低価格清酒の原料となるそうです。どこへ持って行くかはこちらも聞きません。当社のスタンスは、その純米醸造比率の高さにもかかわらず、アル添であれ、液化仕込みの経済酒であれ、悪く言う気はまったくありません。価格的にそういう需要に応えるべきだと思うのです。ただ当社でそれをしても規模的に採算が合わないからしないだけです。少なくとも捨てているのではないことだけ、公開しておくべきであるとして、書かせていただきます。

投稿: 不断齋 | 2007年5月 9日 (水) 23時01分

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