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2008年1月10日 (木)

濾過の新方法

活性炭濾過が一般的だった時代が中空繊維の普及で様相が変わり始めた。当社も仕込み水の濾過に使用していたものを、酒に利用するテストを行っている。

 通常は、上槽後まずタンクに移された原酒をしばらく静置して下呑(タンクの底近くに普通2つ口が上下に配置されている。その下側の呑み口)から滓(沈殿した粕分)を取り去るが、これを「いちびき」と言う。その後、出荷のための火入れまでの間、まず濾過する。タンクでの火入れをした後、滓下げを行い、仕上げ濾過して、また瓶詰め前に仕上げ濾過して、また火入れして詰め口する。書いていてもこれほど何度も濾過や火入れを行うのかと思うが、出来るだけ搾った状態に近いものを求める欲求が、瓶燗急冷であったり、活性炭不使用であったり、そもそも生酒もその最たる手段であるが、特殊な工程の製品を普及させてきたわけである。

 濾過についても活性炭を使用しないで小さな穴を通すという、新しい手段が出始めているという訳である。中空糸膜とは、濾過機能を持つ繊維で、ストロー状の繊維の壁面に特殊なスリット状の超微細孔があり、これで精密濾過を行うわけで、穴の大きさを選ぶことができるので、可能な限りうまみや香りを残したいのと火落ち菌汚染をできるだけ防止したいという相反する目的についてのスタンスに応じて、穴のサイズを選ぶことになる。例えば仕込み水の濾過は、穴がいくら小さくても酒の味に影響があるわけでもないので、できるだけ小さい穴のものを選ぶ。酒となるとそうはいかない。

  三菱レイヨンのサイトによれば、ポリプロピレンやポリエチレンを150度から200度に溶かして特殊な紡糸口金でマカロニ状の糸を紡ぐ。それを何かに巻き取った後で、繊維の壁にスリット状の孔を空けるそうだ。これをいくつかの速度の違うローラーに掛けて伸ばす時に、微妙な速度差と延伸力で、スリット状の超微細孔を持つ中空糸膜ができるというわけだ。この製法は薬品を使用しないで孔を空けるため、安全で クリーンな膜ができあがるとか。高度な検査により、規定以上の大きさの孔が空いていないかをコンピュータでチェックした後、出荷します、か。

 いわゆる限外濾過膜となるともっと小さい穴になり、缶入り生ビールはこれで処理されている。こちらは精密濾過という程度で、酵母菌より穴は大きく、これを通した生酒も酵母、蛋白等は残っている。

 だから滓下げは必要だというわけであるが、聞いているとメーカーによっては滓下げもやめてしまう所があるらしい。酒づくり万流は細かい所に及ぶ。

 

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