お涙頂戴はやめてほしい
12月には土曜の休日はない。だいたいどこの酒屋もそうだろう。配送等で問題ないことを確かめてから自分の仕事に出かける。朝読んだ新聞記事がおもしろくない。塩津まで来たので、海を見て気晴らしする。
漁港の向こうは当然海で和歌浦がよく見える。和歌山下津港は重要港湾なので結構船も多く、にぎやかだ。
最近多いのが、酒造業界の長期不況の中で小さい蔵が地方で懸命にがんばっているという記事で、最盛期の何割だの、創業何年で何代目だのを、健気というようなニュアンスで書いているものだ。小さい蔵にスポットを当てるのはいいだろうし、ローカル密着で地域の雇用や観光その他に役立つのはいいことだ。ただし、そういう書かれ方では清酒業界の振興に良くもないし、統計で読めない部分で実態はかなり違うので、あやまったイメージを消費者に植え付けるおそれがある。だいいちお涙頂戴で酒など飲めるものではない。
ご多分に漏れず二極分解的ではあるが、3割程度は形だけの操業になり降りてしまっていて相手にされていないし、残り7割のさらに7割程度が、品質重視カテゴリーで何があってもやめないつもりで臨んでいるから、実際は絞り込まれつつあるプレイヤーで真剣な競争が行われている。ひとつの業界として国税庁は統計を出してしまうので、非大手の純米系やリキュール中間原料、輸出といったカテゴリーは隠れてしまうのだ。まともな手作りの酒は底堅いし、海外での手応えはすごいものがある。当然のことかもしれないが、がんばっている部分に集約されていく流れは続くと見えた。
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コメント
まったく同感です。
はなしは変わりますが、今日は電車の線路が復旧したそうでなによりですね、これを機に、豪雨に強い森、山つくりがすすむといいのに..と思っています。
投稿: うこき | 2011年12月 3日 (土) 16時11分
初日、乗りに行きたかったです。何せ水害後の観光の落ち込みはひどく、8割減とか聞いていましたから、回復に弾みがつくことを祈るばかりです。
山つくりというのもまたこれが、難しいもので、何が最適の山づくりか、各立場で違う方向へ動いてますからね。杉・檜を間伐する者、杉を切りたおして広葉樹を植える者、ただしほとんどが放置。これもある意味合理的です。これについては、とても書ききれません。
投稿: 不断齋 | 2011年12月 3日 (土) 17時19分