酒粕の話
酒粕というのは、ある意味やっかいな相手で、だから粕はカスだと言う人もいるのですが、実は含まれる酵母や麹由来の成分で、非常に健康に良いものです。
しかし、まず面倒なのは不透明で異物混入を防ぐのがものすごく難しいという問題があります。もちろん専門工場を活用したりという手もありますが、今のところ調査中です。次にレベルの低い話になりますが、入れておく米袋は玄米を運んできた袋だけでなく、中古の袋を買い足して使っているので、使っていない米の袋に入っているものも多く、不用意に蔵を見た人に誤解を与えかねないということがあり、蔵見学を原則禁止にしてしまった理由のひとつです。
どういうことかというと、米トレーサビリティー法により、玄米は検査証表示などがあるものしか使えません。1袋30㎏入ですが、これを精米すると、白米は10数㎏になるので、白米用の袋は構内だけで使うので、玄米が入っていたのとは違う袋に入れ、白墨で何を何%まで削ったものだと書いて、洗うまで置いておきます。糠は空気を含んでいるので、1袋に20㎏しか入りません。これも紙袋に白墨で、赤、中、白、特白と書き付けて仲買人に引き取られていきます。さらに米袋でなくフレコンと言って、600㎏入の布籠で入ってくる玄米もあります。結果、紙袋で買う玄米のものだけではとうてい紙袋が足りないので、米屋や販売店から中古の米袋を買って補充しないといけないわけです。そうすると蔵には酒米でない米の紙袋に白米や糠、酒粕が入れられたものが大量に積み上げられることになります。
蔵を鷹揚に見せてしまうと、品質管理や職員の集中力の低下が懸念されるだけでなく、米の使用種類に誤解を与えてしまうおそれがあるわけで、どうしても得意先の紹介で蔵内を案内する時には、前置きとしてその事情を長々と説明しなければなりません。
もっと大きい蔵であれば、白米は白米タンクにいれ、酒粕、糠も専用のフレコンに入れることができるので、中古の紙袋はそもそも見ないことになると思います。また自社で精米しない蔵ならば、紙袋に入って白米がやってくるので、その心配は酒粕だけに絞り込めます。粕歩合から考えて白米が入っていた米袋だけで足りるかもしれず、買い足す必要もないかもしれません。
自社が中途半端な規模で精米工場を持っているという状況での問題なのかもしれません。今後は追々糠や粕のフレコン活用も考えていくことになるとは思いますが。
それより根本的には、食生活の過度な洋風化を改め、米食割合の引き上げ、梅干などの漬物や酒粕の需要回復にも貢献するPRを発しなくてはならないなと、粕を送り出しながら考えていたのでした。
| 固定リンク
「地酒」カテゴリの記事
- 大阪国税局清酒鑑評会 吟醸酒の部 優等賞(2018.10.31)
- 2018年度全米日本酒歓評会で金賞を受賞しました(2018.06.29)
- 純米しぼりたて 発売しました(2017.11.28)
- 今年の新酒第1号搾りました(上槽)(2017.11.13)
- 今シーズンの酒造りが始まりました(2017.10.09)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント