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2016年4月19日 (火)

来場者は増えているが古酒の時代は来るのか

国内の話題に戻って、4月17日(日)、東京・渋谷で「熟成古酒ルネッサンス2016」が開催されたので、参加して来ました。主催者側を代表して新潟の佐藤社長からご挨拶をいただきました。その中でもあるとおり、ファンは増えているのだけれど、なかなか商売にまではならない、ということです。吟醸酒も半世紀かかっているから、いつか認められる時代がくるというお話でした。
当社は古酒に取り組むのが遅れ、本来持ってこれるような古酒はまだないのですが、4年冷蔵貯蔵の中取り純米酒と火入れ後8年冷蔵の純米吟醸中取りを出品しました。常温熟成の古酒は今、土蔵で熟成中です。いつも言われるのは、時間はお金で買えないから、古酒を造っておかないと、いざといっても急にはできないので、貯蔵方法とかの情報を得る目的もあります。
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それで行ってみて驚いたのは、たしかに来場者が増えている、しかも若い、ということです。渋谷だからという説明もあり得るのですが、旧知の居酒屋経営者にお会いしましたが、彼も驚いていました。たしかに古酒なり長期熟成酒が認知されてきているという流れはあるのでしょうが、これがなかなか古酒がビジネスの柱になっているという蔵は稀です。
 趣味の領域で好事家の求めるものであるか、或いは、差別化の流れの行き着くところ、人が飲んでないものを求めているだけで、本当は古酒でも、新酒でもよく限定品のレアものが飲めればいい、ということなのか、そんな意地悪な仮説も成り立つのでした。
 それにしても、真面目そうな若い人達、酔えればいいやというタイプは皆無の来場者の群れは何を物語っているのでしょう。知的好奇心に富み、文化、教養の関心の対象として見ているのか、かつて買って家においていたお酒がどう変わるかとか、生活を楽しむ一方法として見ているのかもしれなかった。
 古酒は見るところ限定品の集合であり、先行して古酒の蔵として確立しているところでも、全く同じ製品を安定的にまとまって出荷されるということがない。小ロットごとに少しづつ違うものが出荷されている。毎年ラベルは変わるはずで、計画的に少量づつ出荷されねばならない。特定の販売店と常にリストのやりとりがないと出せないはずだ。
 もしかしたら、日本人の食指向が変わってきて、もしかしたら体力がついたか、脂っこい食べ物が増え、重厚な味に合わせられる酒に目が向き始めたのかもしれない。巷説、江戸時代は古酒が珍重されたというのも、とても広範な現象とは思えなかった。識者の検証を望みたいものだ。
 蔵元もタイプが別れ、古酒には関心がないとはっきりおっしゃる社長さんもいる。経営としては正解なんだろうけどね。

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コメント

お疲れ様でした
名古屋の斉藤(一品料理 晴久)です

今回は殆どお話が出来ずじまいでした
記事を読んで
言わんとする所良く分かります

私も長期熟成酒研究会と関わって25年程
たち、その間
料理との相性研究に明け暮れてました
17年前には、熟成古酒を柱にした
国内初の割烹店を開店したりして

当時から古酒の時代は何時来るのか
はたして売れるのかと言う疑問は皆さんに
ありましたが、希望を持って勉強会を重ね
幾人も熟成古酒の研究者を育て
今現在は、熟成と言う言葉を世に
定着させました

しかしながら、違う分野での熟成と言う言葉は世にある程度認知されながら
熟成古酒自体は今だ知る人ぞ知る酒である
事実は否めないでしょう

試飲会で喜ばれるのは、殆ど無料だからで
店の商売として金額を乗せれば
同じ古酒でも評価は違うものになるでしょう

飲食店が使いたがらない理由の1つですし
個性が強いのが長所であると同時に弱点
でもあります

私の場合は店の商材の1つとしてより
自身の料理の味を高める為の古酒であるので
料理研究の一貫として
古酒と向き合ってきました

ここ十数年は、日本酒の良さをお客様に
伝える為の1つとして古酒を
無料で試飲してもらい
日本酒の幅の広さ、奥行きの深さ、面白さを
お客様に伝えています

穂積先生・本郷先生の
日本酒を思う思いを受け継ぐ者の1人として
私の心臓が持つ間は微力を尽くします

熟成古酒が浸透しない理由の1つが

吟醸系等の低温熟成酒と常温熟成酒の違いを
明確にお客様に伝え切れていない事

また・・自家熟成酒においても
研究会の自家塾適正酒を初め熟成に最適と
思われる酒と、酒なら何でもいいと考える
お客様との考えの隔たり

価格面・・・価値観・・
日本酒とはこういうものだと考える先入観

要は、お客様に適切な情報が伝わってない所
が大きいと思います

しかしながら、この問題は
蔵元・酒販店共に商売上の不利益に繋がり
かねないので
はっきりさせたがらないでしょうね

ただ、梁井さんと良く話すのは

世界を見たとき
吟醸系の酒もある程度
認められると思いますが
料理との一体感を考えるなら
熟成古酒のがその可能性は大きいと思います

ワインに例えるなら
大吟系は・・シャンパーニュ
純米吟及び純米酒は・・白ワイン
熟成古酒は・・赤ワイン
と言った所て゛しょうね

ワインの価値観で考えるから
一番は・・赤ワインではないのでしょうか

ただ私が危ぐしてるのは
今のままではまだ時間が十年単位で要する事その間に蔵元の体力が無くならないかと・・

今店で扱う日本酒では
お客様により分かりやすいように
低温熟成酒の三年位からの価格の求めやすい
熟成酒を最近は積極的に取り入れています

語り合いたいことは山ほどありますが
本日はここまでで

長文になりましたが、では失礼します


追申

名門蔵の1つである蔵元様
お体には気をつけてくださいね

斉藤

投稿: 齋藤 三晃 | 2016年4月22日 (金) 02時01分

丁寧なコメントありがとうございました。勉強させていただきます。サロン的な飲み屋さんのようで、楽しそうですね。

投稿: 名手孝和 | 2016年4月24日 (日) 23時19分

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