おまめ飲食店
引き続き、「おまめ」のなれ寿司である。こちらは「おまめ飲食店」というのが正しい呼び方で、古くからで親は配達してもらっている老舗である。たしかに覗いて見ると食堂風で客席もあるが、飲みに行った記憶もない。とにかく寿司を買いに行くと、目の前で杉桶から漬け込んだ寿司を出して紙の箱へ入れてくれる。県の優良土産品に入り、地方送りもいたしますとは書いているが、繁華街への出店やサイトは開設していない。食感はこちらの方がもちもちした感じである。
ここの店は日方の電車通りから少し栄通りに向いて入った所にあって、他所から来た人にはわかりにくい。戦前までは栄通りが海南でもっとも繁華な商店街だった。そこから今市通り、藤白神社に続く名高と街道沿いに商店が続いていたのだ。路面電車が和歌山市から開通して、県道として電車通りができ商店は力のある所から表通りに出て行った。さらに駅前に広がっていた紡績工場を再開発して駅前商店街「一番街」ができ、ちょうど高度成長期の頃で大型店の出店もあり、さらに商業の中心は移動した。今度はモータリゼーションの進行で、路面電車や野上電車は廃線となり、さらに外側の幹線国道沿いに大型の商業店舗がどんどんできていった。あるいは遠方の大型ショッピングセンターに顧客を吸収された結果、一番街からは大型店も撤退、衰退傾向は明かとなり、元の電車通りは「生活道路」という都合の良い呼び方の、ただの通り道になってしまった。栄通りや今市通りはアーケードも外してほぼ住宅街になってしまっている。特に栄通りは通りに面したシャッターがきれいに残っているので、これはこれで感動ものの眺めではある。
「なれずし おまめ」と書いたパッケージに「栄通り」とあるのは、誇らしい遠い街の記憶なのだ。わずかに残った文具屋、粉屋、この寿司屋は知った先だし、外部で活躍している商売人も元はこの通りに店があったり、今は自宅にしている。寿司のことを書いているのか何だかわからなくなったが、街というのは生き物で、動き回りもするし年も取るということだ。もちろん再生もあるだろう。
なお、いきなり行って必ず買える保証はない。
TEL 073-482-2339 海南市日方269
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