農と環境

2015年6月12日 (金)

みかんの話をしよう

高名なミカン農家を大先輩と訪問し、栽培の状況や産地、畑のお話をうかがいました。
何と言っても和歌山県はみかん産地日本一で、そのまた本場の有田の農家さんから話が聞けるという機会は逃せません。
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こういう急傾斜の山腹を園地にして産物を得、他国に売って生活できるようにしたというのは、江戸時代に入ってからの取り組みだといいますが、当時は想像もつかないような発想と努力があったと思います。
ここ有田地方はかねてから何か違う才能を持っている人がいるなと思っているところで、商売人のセンスや努力の感覚がちょっと自分の周囲とは違う。とにかく、ミカンと蚊取り線香を産地化したのはここの地方の人達です。
イグサをくすべた煙で蚊が落ちるのを見て蚊取り線香を作ろうなどど思うのも超現実的だし、それを商品化して産業を創出したのですから、素直にその天才と努力をおそれ敬っています。
 

 


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2011年6月 2日 (木)

米価上昇と酒米精算単価の通知を見る

ちょっと落ち着いたけど、去年の倍かな、と米屋の社長が言う。こちらはちょうど昨年の酒米価格が確定したところなので、意見交換したくて立ち寄ったのだが。担当君は田植えだったが社長がいてくれた。自分と同じで親もあまり会社に出て来なくなり、出歩くよりは社にいるウエイトが高まってきたようだった。

酒米はこれからだけど、うるち米が業者の出し惜しみか何かで、出てこないし、政府も保有米を放出しない。物は足りているから必要ないということらしかった。そんな商売人のレースに関係なく、稲は田植えされ育っていく。もう少ししないと影響は読めないようだった。今年の秋は米相場に関心が集まりそうだ。

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2009年8月 8日 (土)

ちょっとマズイかも  今年の米の作柄

今朝羽田から関西まで飛んだ。雲の上を飛んでいる間は寝ていたが、高度を落とし始めた頃外を見ると晴れ間が広がって、もう和歌山県内、有田川上流域だった。旧の花園村の森の緑が濃い。あれが久木で、あそこが梁瀬とあちこちの集落や町を眺めながら、あっという間に海南近くまで飛んでくる。自分の蔵の前の道路を通る自動車を確認できたので地上観察を打ち切った。目だけはいいんだ。

その午後、さっき上空から見ていた清水(有田郡有田川町の東奥)の久野原の米農家さんが家族で訪ねてきてくれた。農閑期に養蜂の手伝いをしてらっしゃるとのことで、県内のミカン蜜でできたという蜂蜜をひと瓶いただく。しばらく朝食のパターンが固まりそうだ。

さて、そんな彼の話では、天候不順で今年はカメムシが多く、粒も小さい目らしい。これからかーっと照り続ければ改復するのかどうか。

昔もっと涼しくて肥料を多く使わなかった時代はカメムシは少なかったとか。茎や葉がゆっくり伸びると堅いから虫は食えない。肥料で勢いよく伸びるから軟らかくて食べにくると。気候温暖化で虫が越冬する?とか、よくわからないが気候の変化はあるんだろうなという話だった。

できるだけ有機肥料を使った自分の家族に食べさせたい食用米を作ってもいらっしゃる。完全有機はリン酸とカリが足らなくて無理だという判断のようで、頼まれた田を2ヘクタールほど栽培されている。そのうち酒米4.5反はいい場所の田だそうで、蔵としては助かります、と言うと、ヤマヒカリや早生品種から稲刈りになるが、ずっと稲刈りばっかりやってるとやっぱり疲れてくるそうで、最後の方で晩稲の酒米を刈るのは平場の整った田でやりたい、ということだった。

収量は反6俵か7俵までに抑えるのが一番いい、飯米でも味が濃くて旨みがあるとのこと。酒米は味はうすい方がいいが粒は大きい方がよく、収量を抑える方がいいのは意見の一致するところだ。ただ経営的には大変だろうに。いや田の維持が主な目的ですから。?思うに、小作料がいらないという背景もあるだろう。

稲刈りとかを切り上げたらまた蜂を追う。

兄弟で建設業をされていたけど自分は外で出られたそうで、まったく時代の流れそのものみたいだが、田は耕作を頼みにきてくれるし、何だか販売もネットとかでもなく電話中心で結構好調のようで、けっこう楽しそうだった。酒米に習熟されることと、今年の作柄の挽回を期待しよう。

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2008年12月21日 (日)

菜の花プロジェクト

Img_4995 秋に種を捲かないと春に菜の花畑はできない。当たり前。でも冬に畑は見に来たことはなかった。WERA(和歌山エコビレッジ)で菜の花プロジェクトの勉強会をやるというので見学させていただく。

しかし聞いてると天ぷらを食べられなくなるんだが、実際はすぐ忘れて外食とかで食べてしまう。あらゆる食品が工業化されていて、多少の危険は伴うんだが、結構無視しているのか平気なのか、まさか全員ガンになるわけじゃないだろうと思ってしまうんだろう。

本当に搾って漉しただけの菜種油なら500mlで1200円くらいになる。実用的にはサラダにドレッシング代わりにかけて使うことになる。天ぷらとなるとまず無理だ。

生産者以外で環境にもよくて安全な食品で生活をするには、まず環境を無視した不健康な生活をして稼いで金持ちになる必要があるんだろうか。健康な生活に入れる頃には体は蝕まれているかもしれない。

しかし粗油を脱ガム、脱色、脱蝋するところで化学薬品をどう使っているのかは、食品メーカーも積極的に公開した方がいい。だまっていると、変に批判されると思う。苛性ソーダが入っているなんて言われれば、それって空き瓶を洗う洗剤だろとか、僕だって不安に思ってしまうわな。

そんな不安も感じながら、菜の花をもっと植えて、景観や農地の保全、バイオマス問題へも貢献しようという動きのお話を聞く。廃食油を回収してディーゼル油に使用しているのは見たことがあるが、ナタネの栽培と食用油の生産というか国産の復活はこれからといった感じだ。バイオマスタウンという言葉は初めて聞いたが、もう100何十かの自治体は名乗りを上げていて、和歌山とかはまだないというお粗末な状況らしい。

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2007年10月 8日 (月)

新論点

今日も外から更新を試みる。純米酒フェスティバルでどこがどうの誰がどう言ったとかということは書かないし、書けないが、結局土産に買ったのが、五人娘の蔵元さん寺田啓佐氏が書かれた「発酵道」という本だった。フルネット社の資料によれば平成18酒造年度の清酒の出荷数量は388万石、ピーク時から6割減である。純米酒のそれは52万石。純米酒の比率がまだ13.4%の時点で、「きもと」だけが本物というのは早すぎるが、氏の魂の遍歴は一読に値するだろう。どうも指示したライターが酒母の速醸とアル添、増譲酒をごちゃにして理解しきらないまま書いて校了まで行ってしまったようだ。しかしマーケティング的にはコアな環境コンシャス層だけにターゲットを絞って徹底的に集中されているならそれはそれでいいんだろう。

 今後でてくるテーマとして、合成乳酸の使用をFAOはまだ問題視しているのかの確認、なぜ一度取り上げられかかったが問題なし(乳酸が非常に高純度であること、及び副次的利用で微量であること等を理由とする)とされた後、環境に意識の高い人達もそう問題視しなくなったのか無視してしまったのか、発酵乳酸に使用を切り替えることは可能なのか、またそれでどの程度のコストアップがあるのか、このあたりを調べてみる必要はあるだろう。

 またときどき「どぶろく」の造り方を人に聞かれて困るのだが、図解付で解説しているので大いに参考になる。

 有機農業も見て思うことだが、徹底した本物はたしかにすばらしい。しかし生産はごく一部に限られるし、非常に高いものにつく。普通の農法では採算が合わないから有機に遷移して、だいたい何でも3倍というイメージであるからたしかにそれなら生活できるかもしれない。ただし買える層は限られるから、価値観を同じくするサークル内からなかなか広がらない傾向がある。酒でも純米酒はいいが、日頃飲むには高く、マニア向け商品の需要は一部居酒屋とかの商材から広がらないのと似たところがある。

といって、徹底した低コスト大量生産の行き詰まりも明白である。自社について言うと、蔵の周りに炭を埋め、全量「きもと」にできる蔵の広さがない。

 速譲酒母だが純米比率は100%に近く、そんなすごい名酒は目指さず、家庭でも親しまれる価格帯での純米酒に集中する。そんな戦略は一定の理解は得られたかのようだが、それでも、お前は金持ち相手の商売しかしないのか、と言われることを恐れ嫌うが故に、地元でのやや安い普通酒を効率が悪いと思いながらも、続けているのが今の当社の流れである。

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2007年10月 6日 (土)

有機農業の谷間から

朝から海南市北野上のビオトープ孟子へ出かける。なかなかわかりにくい所だが、和歌山電鉄貴志川線「大池遊園」駅の南方約1.6㎞(直線距離)付近である。東向きの緩やかで細い谷間で、谷の入口まで約1㎞余り、これは絶対歩かねばならない。昔の高野街道であったが、奥には孟子(もうこ)不動尊がある程度で、何もない所というイメージであったが。今はNPO法人自然回復を試みる会が98年以来、耕作しなくなった田を借りて水を溜め、自然観察地のような場所を作って有名になってきている。Img_0094 「ビオトープ孟子」では、トンボ、チョウ、クモ、野鳥その他が他種類観察できる。また谷筋は米、ソバ等が栽培され、谷に阻まれ農薬も飛んでこないから全体が有機栽培だそうな。ちょっと違うテーマで見学に行ったのだが、今日は一日有機づけとなる。午後は紀の川市の古代米の稲刈りをちょっとだけ手伝いに行ったからだ。

Img_0097 これは酒米にはならないが、農業への理解を深めるための自由学習である。バインダーの操作を教わり4畝ばかり刈らせていただく。畦のフチは2列ほど鎌で刈るのだが、やってみればいかに田1枚は大きい方が効率がいいかわかる。

昨日も例によって根堀葉堀聞いたことだが、稲刈り時は水分は24%くらいある。これを目標14%で乾燥するが、機械乾燥は石油を炊いて45℃から50℃の熱風で乾燥させるもので、1時間に0.8%程度水分を飛ばしていく。半日で乾くだろう。これが露天の「なる掛け」だと、1から2週間かけて乾燥させていく。途中雨が降れば、ビニールを掛ける。しかし昔はどうしていたのだろう。

検査となれば、16%以上は規格外。15%以上は青線が引かれ、水分過多で減点らしい。逆に12%以下になると割れてしまうから規格外になるだろう。有機の認定を取るならやはり検査も受けるのだろうが、紀の川市の方は、認定など受けないそうだ。わかった所だけに売る、というわけか。地酒とやや似ているが、当社の場合、酒ではもうこの作戦は使えない。もう少し余裕があればやってもいいが。検査なんか受けない米で純米酒を造って、何も書かず普通酒として売るというノリであるが、それだけクローズな関係で完結できる状態でもないし、販売先も選べない。いずれ有機栽培米もと思うが値段が違いすぎる。特別栽培米(使用農薬半減)あたりからだが、もうかなり使用している。とくに書いていないけど。

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2007年10月 1日 (月)

コーポラティブ方式の家づくり

朝から山歩きして午後には紀の川市へ勉強にやってきた。立命館の高田昇先生のお話を聴く。コーポラティブ方式って、何よ、という疑問は2年も前から余り変わっていなかったが、組合で土地を取得してから分譲するという勝手な割り切りで理解を試みる。世界的にはこの方式は普及しているのに、日本はまだごく少数。所有する限りは独占支配という考えが日本は強い、だから普及しないと考えていたが、先生のお話では、じわじわ増えてきつつあるようだ。20戸から100戸くらいの感覚だが、当然マンションもある。単なる自由設計とは違い、コミュニティーづくりから参加していくから、まったく他人がいきなり隣人ということにはならないのが、特徴である。時間とともに町が成長していくとかもいい所だという。会員を集めるまで予定地の所有者を待たせるか替わりに誰かが取得、確保する必要があるということは誰かがデベロッパー役をやるわけで、できあがった物を買うよりは安いとは限らない、また長期間でコミュニテイーがいい方へ変化していくかどうかはわからないという点は調べていく必要があるだろう。取りあえず良い点は多い。

こんなことを考えているうちに、古代米の写真をとるのを忘れた。今週には刈り取る。穂もやっぱり黒い。

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2007年9月15日 (土)

米価低めで始まる

製造計画を立てていると、米屋の旦那から電話だ。すごいタイミングだ。低めに値が決まり始めていると。昨今価格が安定というか低迷しているのは、米と酒くらいなもので、後はどんどん値上がりし始めているというのに。肥料が1袋600円上がるということで、農家は板挟みである。問題は異常気象等で不作の時のしっぺ返しがあるから、安定関係を確保する必要があるので、値切ればいいというものではない。

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2007年5月26日 (土)

芽出たい

紀の川市北中まで往復50㎞を自転車で走った。最近の自転車は性能が良くなったのがまず。ライトの付け方が悪いのが次。そしてやっぱり遠い。少々の坂道に自動車は影響されないかよく分かった。逆に人力だと、重力がわずかでも味方してくれるか邪魔するかで速度、疲労が全然違うなという、にわかエコ者の感想だった。先月蒔いた黒米が無事発芽していた。Img_8279大きくなってから田植えする方法らしく、6月17日(日)を予定しているそうで参加予定である。近くで見るとなるほど稲らしいが、まるで雑草みたいで、さすが無農薬の陸稲である。

ほとんど手伝えていなかったが、庭に石釜も完成していた。これも次の懇親会で何か焼けたものが食べられるだろう。

6月23日が何か大きな祝典になりそうだ。興味のある人は和歌山エコビレッジさんへ。ヤギも喜んでいそうだった。Img_8283

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